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花火~エルリック教授との想いで~ 

これは、そんなに昔のことではない。
でもそれは教授と出会ってから1年も経っていない頃の話。

「教授!エルリック教授!」
まだ彼、エルリック氏が私と同じ大学の教授として教鞭をとっていらした頃。
私はまだ一講師で。講義のない時間はエルリック教授のお手伝いをしていた。本来なら講義のない時間は別のバイトなど入れなければ生活ができないほど給料は少なく、食べることにも苦労し大変だった。しかし、そんなことを除外してでも教授の下で勉強がしたいという想いが勝っていた。もうすぐ教授が一線から去られるという噂を聞いていたというのも手伝って、少しでも教授の話を聞けるようにとついて回った。
そんな私を教授は「奇特な奴だなぁ」と言っては笑っていた。
そう言われれば「先生も大変ですねぇ、こんな奴に好かれちゃって」と私が言って。結局二人でわっはっはっはと笑いあいながら研究について議論をしていた。
教授の専門は物理学である。特にその頃は核物質の無限分裂によって生みだされるエネルギーについてよく話をされていた。
しかし、言葉の端々から教授が物理学ではなく別の学問を目指されていたのではないかと私は思った。
それが顕著に示された言葉がある。
「私は、昔ある物に興味があって。それを追っているうちに物理学に詳しくなってしまったのだよ」
めったなことで学問に対してのことを言われない教授が(議論は沢山されていた)ぽつりと酒の席でそう言ったのを私は多分一生忘れないだろう。
あれだけすばらしい説や考えを生み出された方なのに、その一言を言った時のエルリック教授はとても。とても寂しそうで、悲しそうで。
何か、とても遠いものを思い出されているようで。
それは郷愁の念にも似ている物言いだった。
教授は、めったにそのような感情的なものを出されない人だった。
明るい方なのだが研究室では研究以外の話はされないし、酒の席でもご家族の話はするが、過去の話は決してしようとはしない方だった。
そのような教授が、見せた一時の感情だった。

「なんだ、また走っていたのか?」
「教授がふらふらと誰にも何も言わずにどこかへ行ってしまうからでしょう!探したんですよ!!」
「何か、不測の事態でも起こったのか?」
教授は眉間に皺を寄せた。
「えぇ。教授、僕の家に来てください!」
「は?」
教授は首をかしげる。
「花火大会です!!!」


その頃、家賃2万円風呂無しのトイレ共同のなんとも安いボロアパートを借りていた私にとって自慢できることは空がよく見えることだった。
そして、その日家を出る時に隣に住んでいたご夫婦からここから花火大会の花火が良く見えることを教えられ、思い立ったのがそれだった。
悲しいことに、私はまだその頃妻とは出会ってなく。そして田舎の大学を出て、やっと上京してきたばかりの私には友人は数えるばかりしかおらず、急に連絡できる相手もいなかった。
そこで今日逢ってなおかつ暇を持て余しているに違いないエルリック教授のことを思い出したのであった。
その日は二人で酒を買い込んで、桶を二つ用意した。
桶の中には水と氷をどさどさと入れて足を入れ、窓を開け放して涼みながら空を眺めた。
教授は「こんな時、一緒にいる彼女とかいないのか。お前は」と言われた。
私は「こんな日に、誘われてのこのこついて来る教授に言われたくありません」と返した。
「お前が誘ったんじゃないか」
「えぇ、誘いました。だって教授が花火知らなかったせいですよ」
「お前なぁ。ほれ、差し入れにと思ったがこれはオレが一人で飲むぞ?」
「あぁ!ひどい!そんな無体なことは言わないで!よっ太っ腹で男前で江戸っ子なエドワード・エルリック教授!!!」

そんな会話をしつつ、私たちは花火があがるのを待っていた。
風が吹いて、出店で買ったちゃちな風鈴がそれでも風鈴の名前の通りちりちりと微かに音を鳴らしていた。

そのうち、風鈴のか細い音ではない音が聞こえた。
その後には直接心臓に響く、どん!という音。
教授は一瞬身をすくませた。
だが次の瞬間、空に咲いた大輪の花を見て教授は瞳を見開いた。
「おぉ!」
「うわぁ!」
どん、どどん!
どんどん!
次々と咲いては消え、咲いては消える花火。

ふと、隣を見た。
そこでは信じられない情景が眼に入ってきた。
泣いているのだ。泣いていたのだ。
エルリック教授が。
話し、かけることはできなかった。
思えば、教授は戦争を体験した方だ。
この、花火の音はそれを思い出させたのかもしれない。
そう思って、私は口を閉ざした。

だが後日、嬉しそうに楽しそうに花火を大量に買い込んできた教授が研究室にいた。
なんでも古い友人がこの手のことが得意だったとかで。
あの花火を見たらそれを思い出したんだそうだ。
それでこれらの花火を見つけて思わず買い込んできたそうだ。


研究室の仲間と一緒にエルリック教授の花火で遊んだ。
「まぁ、結局やり方を教わることはできなかったんだけどな」
そう言ってふふと笑うと教授は最後の一つになった線香花火に火を点けた。

最後のところで台詞を入れたいがために少し変なリズムに。
要書き直し。

ところでおととい、ネッ友の友人にどれくらい書く?っていうのを聞いてみた。
そうしたら、一番短いのは自分であるという驚愕の事実が!!!
出直してきます。

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